コラム
畳屋が教える国産和紙畳のメリット・デメリット。い草の畳とどちらがいい?
こんにちは、名古屋市南区で畳、ふすま、障子の張替え、新調を60年以上に渡って承っている伊藤畳商店です。
畳の表面に使う素材は、い草が当たり前でですが、最近では和紙畳と呼ばれる新しい素材の人気が高まっています。
実際、畳屋から見ても、特に国産の和紙畳は従来のい草の畳と比べてメリットが多く、長い目で見ればコストもお得になります。
そこで、このページではプロの畳屋の視点から、和紙畳がどんな畳なのか、メリット、デメリットも含めてくわしくご紹介いたします。
結論、畳屋の目線から見ても、和紙畳を選んでも後悔しないと思います!
畳の表替えや新調に和紙畳をご検討されている方はぜひご覧ください。
伊藤畳商店では、東海3県のお客様を対象にLINEを使った和紙畳のオンライン見積りも行っていますのでお気軽にご利用ください。
和紙畳はどんな畳?
和紙畳とは、い草の代わりに和紙を使った畳で、和紙を細かくこより状にし、編み込んで、樹脂コーティングしたものです。
住宅用建材の大手メーカーである「ダイケン」が1989年から開発を始めた素材で、当時からイ草の畳の需要や供給量が減少していたため、安定した工業製品としての畳表の生産を目指して開発されたのだそうです。
現在、和紙畳には、ダイケンが製造する国産和紙畳「健やかおもて」と、中国産の和紙畳の2種類があります。
このページでは、特に品質の高い「国産和紙畳」のメリット・デメリットについて解説します。
い草の畳と、国産和紙畳と違う3つのポイント
1.上品な見た目で、豊富なカラーバリーエーション
和紙畳とい草の畳の見た目はほとんど変わりません。
しかし、畳のプロから見ると、和紙畳はい草の畳では出せない、洗練された上品な見た目に仕上がっていることが多いです。
そして、和紙畳の大きく違う見た目の特徴は、豊富なデザイン性にあります。
国産和紙畳の場合、カラーバリエーションが豊富で、い草の畳では作れない様々な色の和紙畳が発売され、その数は50種類以上を超えています。
その色使いから、重厚感のある印象を与えたり、逆に和紙特有のやわらかさ、やさしさを演出できたりします。
ヘリとカラーの組み合わせによって和室はもちろん、洋室にも合うデザインのカラーを選ぶこともできます。
2.高い耐久性で経年劣化しにくい
使い続けていく上での違いは、高い耐久性が挙げられます。
和紙畳は、和紙を束ねる過程で樹脂コーティングされ、そのため、摩擦に強く、汚れもつきにくい構造になっています。
い草の畳で起こりやすかったササクレ、色焼けや変色が起こりづらく、長期間傷みにくいまま使うことができます。
い草の畳で行う「畳の裏返し」も和紙畳なら、原則不要です。
3.撥水性がありカビが発生しにくく衛生面が高い
樹脂コーティングされていることによって、撥水効果があるため、水や飲み物をこぼしても中に染み込まず、拭き取るだけでかまいません。
また、い草の畳のように網目の細かなすき間がないため、ダニなども入り込む心配がなく、カビの発生も抑制され、衛生面でも非常に高い機能があります。
国産和紙畳の寿命・耐用年数は?
国産和紙畳の寿命は、日々の使い方にもよりますが、おおむね20~40年と言われています。
い草の畳の寿命は、標準的なものなら15年程度、上質な畳でも20~25年程度のため、比べると2倍以上の寿命があると考えていただいてかまいません。
ちなみに私の実家の和紙畳も張り替えてから20年近く経過していますが、この画像のように、ささくれや傷みもなく、キレイな状態を保っています。
中心にある床材を替えずに和紙畳で表替えをしたため、表はキレイな状態なのに床材が劣化してしまう逆の現象が起こってしまうこともあります。
国産和紙畳のメリット・利点
和紙畳に変えたときのメリットを簡単にまとめてみました。
長持ちするためトータルコストが安い
和紙畳の価格は、い草の畳より高くなりますが、使いようによっては10年~20年で畳を何度か張り替えるよりも手間もコストも安いです。メンテナンスもほとんど必要ありません。
カビが発生しにくい
い草には水分を吸収する性質がありますが、和紙畳は水分をはじきます。
カビの発生に必要な養分が吸収されにくいため、カビの生えやすい条件でも発生しにくい特性があり、お手入れの手間が激減します。
色が選べる
い草の畳にはないカラーが7色あり、新しいイメージで自分だけのお部屋のコーディネートができるメリットがあります。
洋室に合う
色が選べることから、畳の色をフローリングと合わせることもできます。
これにより和室を和の空間として孤立させず、よりモダンでおしゃれな空間にすることが可能です。
フローリング工事よりも安い
和室が使いにくい、畳はメンテナンスが面倒臭い、洋風の家に合わないと言った理由でフローリングにされるお客様もいらっしゃいます。
しかし、和紙畳の新調の場合、フローリングにするよりもコストはおおむね半額ほど、表替えの場合は約4分の1で済んでしまいます。
国産和紙畳のデメリット・欠点
反面、国産和紙畳にもいくつかのデメリットがあります。
値段が少し高い
5年~10年くらいで張り替える一般的ない草の畳と比べると、やはり価格は高くなる傾向にあります。
ただ、将来的に数回表替えをするい草の畳と20~40年そのまま使用できる和紙畳とのトータルコストで考えると、必ずしも高い金額とはいえません。
20年以上の耐久性のある高級い草畳もありますが、価格はやはり15,000円以上しますので、長期的には和紙畳は安くなるメリットがあります。
い草の香りがしない
畳を交換すると、い草の香りがお部屋に漂うことが特徴ですが、和紙畳に香りはなく、無臭です。
1ヶ月程度で消えてしまいますが、交換した時の香りを楽しみたい方には向いていません。
硬い
クッション性はありますが、い草よりも硬い素材でできているため、座ったときに人によっては今までの畳より硬く感じることがあります。
ただし、これまで多くのお客様に納品後、和紙畳の感触についてお聞きしましたが、い草の畳より硬いと思われた方はごく少数です。
白くなる
すべての方に起こるわけではありませんが、例えば車いすで何度も通ったり、お子様が車のおもちゃで遊んだりすると、強い擦れにより削れて白くなってきます。
しかし、い草の場合だと同じような擦れでは破れてしまうことがほとんどです。
それだけ破れへの耐久性が高い証拠といえるでしょう。
畳の下の掃除の機会が減る
これはデメリットとも言い難いですが、畳の床下は、裏返しや表替えといった施工をする時くらいしか掃除の機会はなかなかありません。
和紙畳にするとその回数が減ってしまうので、ホコリはたまったままになります。
畳の上から定期的に掃除機がけをしていればホコリはたまりづらいです。
国産和紙畳はい草と比べてどれくらい選ばれている?
伊藤畳商店の場合、自宅を施工される個人のお客様の約90%が、ダイケンが製造する国産和紙畳を選ばれています。
残念ながら和紙畳自体の知名度がそれほど高くなく、「和紙ってなに?」「普通のい草のつもりだったから、そもそも和紙なんて頭になかった」という方は非常に多いです。
畳屋目線から見ても、国産和紙畳は耐久性があり、表替えの頻度が少なくなり、さらに裏返しなどの定期的な作業もないため、長い目で見れば仕事が減ってしまうことにも繋がります。
ただ、私達はお客様にご提案する時、そのような忖度無しで和紙とい草のメリット、デメリットを率直にご説明させて頂いております。
ご検討頂いた結果、主に耐久性や機能面にメリットを感じて頂き、和紙畳をお選びいただくことが多いです。
実際に施工してみたあとでも、デザイン性の高さを気に入ってくださり、満足度は高く感じていただいていると思います。
伊藤畳商店では、東海3県のお客様を対象にLINEを使った和紙畳のオンライン見積りも行っていますのでお気軽にご相談ください。
国産和紙畳にかかる費用はどれくらい?
畳屋により値段には幅がありますが、伊藤畳商店の場合、次のような価格となっております。
表替え(床材を取替えず表面だけ和紙畳に変える)の場合
標準(ダイケン国産和紙) | 12,100円/畳 (税込) |
---|---|
カラー(ダイケン国産和紙カラー) | 12,100円/畳 (税込) |
新調(床材も含めてすべて新しくする)の場合
標準(ダイケン国産和紙) | 17,600円/畳 (税込) |
---|---|
カラー(ダイケン国産和紙カラー) | 17,600円/畳 (税込) |
古い畳の処分費 | 2,200円/畳 (税込) |
い草の畳と比べると上級の畳並みの価格となりますが、30年間使用していくと、トータルコストは逆に和紙畳が安くなります。
標準のJAS畳と、和紙畳を30年間使った場合、6畳一間のコストを比較してみました。
- 和紙畳…9,900円×6畳=59,400円(表替えは一度もなし)
- JAS畳…6,050円×6畳=36,300円×2=72,360円(15年周期で1回表替えを想定)
JAS畳の場合は一枚あたりの価格は安いですが、長年使っていると傷みが出てくるため、常にキレイな部屋にしたい場合、表替えが必要です。
もし、15年周期で取り替えたとしても、和紙畳よりもトータルコストは高くなります。
国産和紙畳の場合は、30年間一度も表替えなどの必要がないため、長期的なコストは割安になり、表替えの手間もかかりません。
国産和紙畳に変えたお客様の施工例
名古屋市瑞穂区S様邸
ダイケン国産和紙カラー畳6畳(白茶×ストリーム15)
名古屋市南区K様邸
ダイケン和紙ヘリ無し半畳カラー清流・藍色
国産和紙畳はどんな方にオススメ?
とにかく、高い耐久性があるため長持ちします。
少なくとも10年以上引っ越し予定の無い方には、将来的な裏返しや張替えのコストなどを考えると、最終的に和紙畳のほうがリーズナブルな結果となります。
お部屋の種類も問わず、どんな部屋にもおすすめできます。
衛生面でもい草よりメリットが高いので、小さなお子様がいる方や健康を気にされる方には特におすすめできる素材です。
特にマンションに多い、洋風のリビング、キッチンから続きになっている和室をカラーバリエーション豊富な和紙畳に変えるとデザイン性も高く、モダンな仕上がりになります。
私達畳屋からみてもコーディネートし甲斐があり、お部屋のイメージを一新したい方にもオススメです。
逆に賃貸で他人に貸す場合や、数年程度で引っ越し予定の場合は、和紙畳はトータルコストで高くなってしまうのでリーズナブルない草の畳をオススメしています。
まとめ
和紙畳のメリット・デメリットについてご紹介しました。
畳の質感はそのままに、とにかく長持ちするため、ご自宅で長く使われる方におすすめしております。
また、カラーも選べるので、和室の雰囲気をガラリと変えたい方にもおすすめです。
伊藤畳商店では、和紙畳のカラーコーディネートからお客様の立場にたってご相談を承っております。
まずはお気軽にご相談ください。
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