コラム
和紙畳で後悔する6つの理由。畳屋が教える国産和紙畳のメリット・デメリットとは?

こんにちは、名古屋市南区で畳、ふすま、障子の張替え、新調を70年以上に渡って承っている伊藤畳商店です。
畳の表面に使う素材は、い草が当たり前でですが、最近では和紙畳と呼ばれる新しい素材の人気が高まっています。
しかし、お客様の声の中には、和紙畳を選んで後悔するという意見も聞かれます。
そこで、このページではプロの畳屋の視点から、和紙畳で本当に後悔してしまうのか、実際のお客様の声も参考にメリット、デメリット、おすすめできる方をご紹介します。
畳の表替えや新調に和紙畳をご検討されている方はぜひご覧ください。
和紙畳で後悔してしまうデメリットや理由とは?
そもそも、和紙畳で後悔する方のほとんどは、今まで使っていた「い草」の畳と違うところに違和感を感じていることが多いようです。
ただし、その中には、和紙畳が発売された初期の頃の意見であったり、実際に使われた当店のお客様の声とは異なることもあります。
後悔してしまう理由とはいったいどんなことなのか、具体的にご紹介します。
1.い草の香りがしない
畳を交換すると、い草の香りがお部屋に漂うことが特徴ですが、和紙畳に香りはなく、無臭です。
お客様からすると、香りがすることで新しくなったイメージを持たれることが多く、香りがしないとどこか物足りなさがあるのかもしれません。
また、い草の香り自体にはリラックス効果などアロマ的な要素もありますが、実際のところい草の香りは1ヶ月程度で消えてしまうことがほとんどです。
交換した時の香りを楽しみたい方には向いていませんが、ずっと香りを楽しむことまではできません。
2.硬さを感じる
和紙畳は、い草の畳に比べて固く感じることが後悔の理由の一つになっていることがあります。
和紙畳自体は、硬いものではなく、一定のクッション性はありますが、い草よりも硬い素材でできているため、座ったときに人によっては今までより硬く感じることがあります。
ただし、実際には誰でも明らかに和紙畳が硬いと感じるほどのものではありません。
伊藤畳商店では、これまで納品したお客様に和紙畳の感触についてお聞きしましたが、い草の畳より硬いと思われた方はごく少数にとどまり、ほとんどのお客様はい草の畳とそれほど変わらないご意見を頂戴しています。
3.色が白くなる
和紙畳を使っていると、色が白くなるという意見もあります。
これはいつでも起こるわけではなく、例えば車いすで何度も通ったり、お子様が車のおもちゃで遊んだりと、強い擦れが起こる状況が続くと白くなってきます。
しかし、同じ力のこすれをい草に与えると、破れてしまうことがほとんどです。
和紙畳は、い草に比べて耐久性が非常に高く、い草の畳で起こりやすいササクレ、色焼けや変色が起こりづらく、長期間傷みにくいまま使うことができます。
その耐久性を超えた力がかかった場合は白くなることがありますが、逆に言えばそれだけ破れへの耐久性が高い証拠といえるでしょう。
4.調湿効果がない
和紙畳は、い草の畳に比べると、湿気を吸収したり放出する調湿効果が少なくなることに後悔する場合もあるようです。
確かに和紙畳は水をはじく性質があり、水を吸収する性質のあるい草と季節単位で比べると、少しじめっとしたり乾燥が目立つ時があるかもしれません。
しかし、い草の調湿効果はメリットばかりではなく、逆に吸収した水分によってカビが発生しやすい原因になりやすいです。
また、い草の畳が吸収した水分は床下に届きやすく、結果家の湿気が増えてしまい、長期的にはシロアリなどの発生原因になってしまいます。
どちらのメリットをとるかによって印象は大きく変わってくると思います。
5.和紙畳の値段が高い
和紙畳の値段は、い草の畳に比べ価格は高くなる傾向にあります。
ただし、それは中国製のい草の畳と比べた場合で、国産のい草を使った畳の場合、最近では生産者の減少や素材の値上がりで価格は和紙畳と大きく変わりません。
また、10~20年の時間で見れば、い草の畳は表替えや裏返しが必要ですが、和紙畳は耐久性が高いため、20年以上ノーメンテナンスでそのまま使え、トータルコストでは安くなります。
安いイ草の畳ほど、表替えや裏返しの回数は多くなり、逆に20年以上の耐久性のある高級ない草畳は1畳あたり30,000円以上で、和紙畳よりも逆に高くなります。
6.畳の下の掃除の機会が減る
これは後悔とも言い難いかもしれませんが、、
和紙畳は、一度張り替えてしまえば裏返しの必要はなく、ノーメンテナンスのため、10~20年後くらいにしか畳の下の掃除の機会はなかなかありません。
い草の畳は裏返しの必要がありますが、逆に畳の下の掃除の機会はあります。
ただし、和紙畳だからほこりが溜まりやすいというわけではなく、定期的に畳の上から定期的に掃除機がけをしていればホコリはたまりづらいです。
国産和紙畳のメリット・利点
逆に和紙畳に変えたときは、い草で感じるデメリットが解消されることが多いです。
特に、現代のモダンなお住まいのデザインなどに合わせやすく、機能性も高いので、デメリットと比べながら選んでみることをおすすめします。
寿命が長持ちするためトータルコストが安く手間がかからない
和紙畳は、買ったときはい草の畳より高くなることが多いですが、耐久性が高いため、数年単位での張替えやメンテナンスの手間がなく、トータルコストは安くなります。
特に国産和紙畳の寿命は、日々の使い方にもよりますが、おおむね20~40年と言われています。
い草畳の寿命は、標準なら15年程度、高級畳でも20~25年程度のため、2倍以上の寿命があると考えて頂いてかまいません。
ちなみに私の実家の和紙畳も張り替えてから20年近く経過していますが、この画像のように、ささくれや傷みもなく、キレイな状態を保っています。
中心にある床材を替えずに和紙畳で表替えをすると、表はキレイな状態なのに床材が劣化してしまう逆の現象が起こってしまうこともあります。
カビが発生しにくく、ダニも入り込みにくく衛生的
和紙畳は、水分をはじく性質があり、カビの発生に必要な水分が吸収されにいため、カビが発生しにくい特性があります。
和紙畳は表面が樹脂コーティングされていて、撥水効果があり、水や飲み物をこぼしても中に染み込まず、拭き取るだけでかまわないのでお手入れの手間も激減します。
また、い草の畳のように網目の細かなすき間がないため、ダニなども入り込む心配がなく、衛生面でも非常に高い機能があります。
ただし、ダニやカビが発生しないのは、畳床にインシュレーションボードの床材を使った場合のみです。
昔からの稲わらを使った床材(藁床)だと、和紙畳でもカビやダニは発生するので、何を使っているのか畳屋さんに確認するようにしましょう、
50種類以上の色が選べデザイン性が高い
国産和紙畳の場合、カラーバリエーションが豊富で、い草の畳では作れない様々な色の和紙畳が発売され、その数は50種類以上を超えています。
い草の畳では実現できない新しいイメージで自分だけのお部屋のコーディネートができるメリットがあります。
その色使いから、重厚感のある印象を与えたり、逆に和紙特有のやわらかさ、やさしさを演出できたりします。
畳のプロから見ても、和紙畳はい草の畳では出せない、洗練された上品な見た目に仕上がっていることが多いです。
洋室にも合わせやすい
和紙畳は色が選べる上に、ヘリとカラーの組み合わせによって和室はもちろん、洋室にも合うカラーを選ぶことができます。
畳の色をフローリングと合わせることもでき、和室を和の空間として孤立させず、よりモダンでおしゃれな空間にすることが可能です。
フローリング工事よりも安い
和室が使いにくい、畳はメンテナンスが面倒臭い、洋風の家に合わないと言った理由で畳からフローリングにされるお客様もいらっしゃいます。
しかし、和紙畳で新調する場合、フローリングにするよりも費用はおおむね半額ほど、表替えの場合は約4分の1で済んでしまいます。
色焼けがなく破れにくく、ささくれもない
和紙畳は、和紙を束ねる過程で樹脂コーティングされ、摩擦に強く、汚れもつきにくい構造になっています。
い草の畳で起こりやすかったササクレ、色焼けや変色が起こりづらく、長期間傷みにくいまま使うことができます。
い草の畳で行う「畳の裏返し」も和紙畳なら原則不要のため長い目で見ても手間がかかりにくい畳です。
和紙畳とい草の畳ではどちらが人気?
伊藤畳商店の場合、自宅を施工される個人のお客様の約90%が、ダイケンが製造する国産和紙畳を選ばれています。
和紙畳の知名度がそれほど高くなく、「和紙ってなに?」「普通のい草のつもりだったから、和紙なんて頭になかった」という方は非常に多いです。
そのため、和紙畳を知らない人はい草の畳をそのまま選んでしまいますが、和紙畳とい草を両方知ってもらって比べて頂くと、圧倒的に和紙畳に人気が集まります。
実は和紙畳は、畳屋目線から見ると、耐久性の長さが災いして表替えの頻度が少なくなり、さらに裏返しなどの定期的な作業もないため、長期的には仕事が減ってしまいます。
畳屋さんの中には、この理由から和紙畳をお客に教えない、もしくはデメリットを強調して、い草の畳をすすめることもあるかもしれません。
私達はお客様にご提案する時、そのような忖度無しで和紙とい草のメリット、デメリットを率直にご説明させて頂いております。
双方をご検討頂いた結果、主に耐久性や機能面にメリットを感じて頂き、和紙畳をお選びいただくことが多いです。
実際に施工した後でも、デザインの良さなどで満足度は高く感じて頂いております。
伊藤畳商店では、東海3県のお客様を対象にLINEを使った和紙畳のオンライン見積りも行っていますのでお気軽にご相談ください。
和紙畳はどんな畳?
和紙畳とは、い草の代わりに和紙を使った畳で、和紙を細かくこより状にし、編み込んで、樹脂コーティングしたものです。
住宅用建材の大手メーカーである「ダイケン」が1989年から開発を始めた素材で、当時からイ草の畳の需要や供給量が減少していたため、安定した工業製品としての畳表の生産を目指して開発されたのだそうです。
現在、和紙畳には、ダイケンが製造する国産和紙畳「健やかおもて」と、中国産の和紙畳の2種類があります。
伊藤畳商店では特に品質の高く、コストとのバランスに優れた「国産和紙畳」をおすすめしています。
国産和紙畳にかかる費用はどれくらい?
国産和紙畳の値段は畳屋により差がありますが、伊藤畳商店の場合、次のようなお値段となっています。
表替え(床材を取替えず表面だけ和紙畳に変える)の場合
標準(ダイケン国産和紙) | 14,300円/畳 (税込) |
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カラー(ダイケン国産和紙カラー) | 15,400円/畳 (税込) |
新調(床材も含めてすべて新しくする)の場合
標準(ダイケン国産和紙) | 19,800円/畳 (税込) |
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カラー(ダイケン国産和紙カラー) | 22,000円/畳 (税込) |
古い畳の処分費 | 2,200円/畳 (税込) |
い草の畳と比べると上級の畳並みの価格となりますが、30年間使用していくと、トータルコストは逆に和紙畳が安くなります。
標準のい草のJAS畳と、和紙畳を30年間使った場合、6畳一間のコストを比較してみました。
- 和紙畳…14,300円×6畳=85,800円(表替えは一度もなし)
- JAS畳…8,800円×6畳=52,800円×2=105,600円(15年周期で1回表替えを想定)
JAS畳の場合は一枚あたりの価格は安いですが、長年使っていると傷みが出てくるため、常にキレイな部屋にしたい場合、将来的に表替えが必要です。
もし、15年周期で取り替えた場合、和紙畳よりも高くなってしまいます。
国産和紙畳の場合は、1度も表替えなどの必要がないため、長期的なコストは割安になり、表替えの手間もかかりません。
和紙畳はどんな方にオススメ?逆におすすめできない方は?
和紙畳は、少なくとも10年以上引っ越し予定の無い方や、家のデザインにこだわる方、さらに衛生面に気をつけたい方におすすめできます。
とくに国産和紙畳はとにかく高い耐久性があり、長持ちするため、一度設置してしまえば、その後の費用は原則かかりません。
い草の畳の場合、10年以上になると裏返しや表替えの手間や費用がかかるため、トータルコストで考えると和紙畳のほうが安くなります。
また、和紙畳はお部屋の種類も問わず、どんな部屋にもおすすめでき、洋室中心の現代のお住まいにも合わせやすいでしょう。
特にマンションに多い、洋風のリビング、キッチンから続きになっている和室をカラーバリエーション豊富な和紙畳に変えるとデザイン性も高く、モダンな仕上がりになります。
私達畳屋からみてもコーディネートし甲斐があり、お部屋のイメージを一新したい方にもオススメです。
衛生面でもい草よりメリットが高いので、小さなお子様がいる方や健康を気にされる方にもおすすめできます。
和紙畳をオススメできない方
和紙畳はい草の畳と比べるとやや費用が高いため、賃貸で他人に貸す場合や、数年程度で引っ越し予定の場合は、和紙畳はトータルコストで高くなってしまいます。
短期間しか利用しない場合は和紙畳よりもリーズナブルない草の畳をオススメします。
国産和紙畳に変えたお客様の施工例
名古屋市瑞穂区S様邸
ダイケン国産和紙カラー畳6畳(白茶×ストリーム15)
名古屋市南区K様邸
ダイケン和紙ヘリ無し半畳カラー清流・藍色
まとめ
和紙畳で後悔する理由や、和紙畳のメリット・デメリットについてご紹介しました。
和紙畳には、香り、硬さ、値段などいくつかの後悔する理由がありますが、誰もが感じることではなく、逆にメリットもたくさんあります。
特に、畳の質感はそのままに高い耐久性でとにかく長持ちし、長い目でのトータルコストが安くなるため、ご自宅で長く使われる方におすすめしております。
また、カラーも選べるので、和室の雰囲気をガラリと変えたい方にもおすすめです。
伊藤畳商店では、和紙畳のカラーコーディネートからお客様の立場にたってご相談を承っております。
まずはお気軽にご相談ください。
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