畳の裏返しとは?できない、おすすめしない理由を名古屋の畳店が解説

裏返し施工風景

こんにちは、名古屋市南区で、畳、ふすま、障子の張替え、新調を70年以上に渡って承っている伊藤畳商店です。

畳のメンテナンス、交換方法には「表替え(張替え)」や「新調」以外に「裏返し」という方法もあります。

畳の裏返しとは、「表面のゴザの部分(畳表)を一度剥がして裏面に張り替え直す」ことですが、実はデメリットのほうが多く、現在伊藤畳商店ではおすすめしていない方法です。

さらに畳の裏返しを利用した悪質営業の事例もあり、メリット・デメリット含め、くわしい理由とともにご紹介します。

畳の裏返しとは?

畳裏返し表替え新調図解

畳の裏返しとは、畳の表面のゴザの部分(畳表)とヘリを一度剥がし、ゴザの部分だけをひっくり返して、ヘリは新しいものを取付けて貼り直すことです。

畳表(たたみおもて)は、い草を編み込んで作られた1枚の織物で、使っているうちに日焼けして色があせていきますが、裏面は畳床に接していて日光にさらされないため、色が変わっていません。

この裏面を表に出して、もう一度使うことが裏返しですが、畳表を裏返せるのは一度きりです。

次に色があせたときには使える面が残っていないため、裏返しは1枚の畳につき1回しか行えません。

表替え・新調との違い

い草の畳のメンテナンスには「裏返し」「表替え」「新調」の3種類があり、違いは次の通りです。

裏返し 表替え 新調
交換する部分 ヘリのみ
(畳表は裏返して再利用)
畳表とヘリ 畳表・ヘリ・畳床
全部
畳表 今までと同じもの 新品 新品
踏み心地 変わらない 変わらない 新品になる
適した時期 前回の張替えから
1〜2年(最大3年程度)
前回の張替えから
10年~
畳床が傷んだとき
20年前後
実施できる回数 1枚につき1回のみ 畳床が傷むまで何度でも 制限なし
費用相場(1畳) 4,000円前後 4,000〜20,000円程度 10,000〜30,000円程度

裏返しと表替えは、畳の表面だけを直すことは同じですが、今までの畳表を使い続けるか、新しい畳表に取り替えるかという点で大きな違いがあります。

畳床(畳の芯の部分)はどちらも交換しないため、床がフカフカする、沈み込むといった場合は、裏返しでも表替えでも改善せず、新調が必要です。

裏返しは必ず必要?

和室がほとんどだった昔は、使用頻度も高かったため、少しでも傷みを防いで寿命を伸ばすために一般的に行われていました。

しかし、現在は和室は家の一部にとどまることが多く、さらに使用頻度も高くないお住まいが多いため、必ずしも必要なことではありません。

裏返しは自分でできる?

裏返しと聞くと、畳ごとひっくり返えすだけと思いがちですが、実際は、縫い付けてあるゴザを丁寧に剥がして貼り直す作業が伴い、専門の技術や専用の機械が必要のため、個人の方で行うことは難しいです。

畳の裏返しの費用相場

伊藤畳商店が他業者の相場を調べたところ、おおむね畳1枚あたり税込4,000円前後が相場となっています(2026年10月現在・当店調べ)。

一方、伊藤畳商店で最もスタンダードなJAS標準綿畳の表替えは、1畳あたり9,900円(税込)と、5,900円の差額がありますが、裏返しが「今までと同じ畳表を使い続ける」のに対し、表替えは畳表が新品に入れ替わり、当店の畳では8〜20年お使いいただけます。

現在、伊藤畳商店では畳の裏返しをサービスとして実施していません。その理由はお客様にとってメリットよりデメリットが多いためで、順番にご紹介します。

畳の裏返しのメリット

畳の裏返しを行うメリットとしては、次のようなことがあります。

まだ日焼けしていない裏側の部分が使える

畳の表面は日光や人の出入りで色があせていきますが、裏面は日光にさらされていないため、色が変わっていません。

この裏面を表に出すことで、日焼けしていない青みのある畳表に戻すことができ、新品と同じ美しさと風合いを楽しむことができます。

費用が安い

他業者の相場を調べたところ、裏返しの費用はおおむね1畳あたり税込4,000円前後です。

伊藤畳商店で最もご注文の多いJAS標準綿畳の表替えが1畳9,900円(税込)ですので、その時にかかる費用だけを比べれば、裏返しのほうが抑えられます。

上級の畳ほど効果が実感できる

裏返しの仕上がりは、使われている畳表の等級によって大きく変わります。

当店の実感では、裏返しではっきり違いが出るのは、熊本産上級麻綿畳(1畳36,300円〜)以上のグレードを使った畳で、表に出したときに表面と遜色ない美しさがあり、剥がして縫い直す作業にも耐えられます。

なお、日当たりや使用状況によっては裏面まで日焼けが進んでいたり、カビが生えていることもあり、当てはまるかどうかは、実際に畳を拝見しないと判断できません。

畳の裏返しのデメリットと伊藤畳商店が行わない理由

一方で、畳の裏返しにはデメリットも多く、現在伊藤畳商店では畳の裏返しをサービスとして承っていません。

理由は大きく分けて、「時期が限られる」「仕上がりが畳の等級に左右される」「そもそもできない畳が多い」「長い目で見ると割高になる」の4つがあり、順にご説明します。

畳表のグレード(等級)で裏返しできる期間が限られ、キレイにならない

一般的には「新調や表替えから3〜5年」が裏返しの目安と言われていますが、実際は畳表のグレード(い草の等級)によって大きく変わります。

当店の実感では、3年経っても裏返しで効果を実感しやすいのは、1畳30,000円以上の国産の上級い草を使った畳です。特別に選別されたい草を使っているため品質が均一で、日焼けも裏側まで届きにくいからです。

過去に裏返しの畳を多数見ていても、それ以上になると、日焼けが裏面に達したり、すでにカビやシミなどで汚れていることが多く、裏返してもキレイになったことをあまり実感できません。

また、裏返したときに針の穴が見えることもあり、裏返しする前より見た目が落ちることもあります。

中国産など普及価格帯の畳はさらに短く1年が限度

中国産など普及価格帯の畳表になると、裏返しできる期間はさらに短く、丁寧に使っていても1年くらいが限度です。

こちらの画像は、過去に中国産の畳表(約2年程度経過)を裏返したときの状態です。

畳裏返し後中国産畳

日焼けこそしていませんが、シミや汚れがうっすら広がっていて、表面がきれいに見えていても裏側はもっと早く傷んでいることがあります。

なお、当店でご注文の多いJAS標準綿畳(表替え1畳9,900円)も、裏返しを前提としていない商品です。裏返しで数年を稼ぐよりも、表替えで8〜20年お使いいただくほうがお客様の負担が軽くなると考え、耐久性を優先した仕様にしています。

ヘリなし畳や特殊な畳は裏返しができない

時期と等級の条件を満たしていても、畳の仕様によっては裏返しそのものができません。

ヘリなし畳(琉球畳) 端を折り曲げて仕上げているため、逆方向に曲げるとい草が割れてしまう
圧着(接着)施工の畳 畳表が接着剤で貼り付けられているため、剥がして裏返すことができない
柱の欠き込みがある畳 柱を避けて変形させた畳は、裏返すと形状が合わないことも
破れ・ささくれがある畳 剥がして縫い直す作業に耐えられず、作業中に裂けるおそれあり

特にヘリなし畳は近年人気が高まっており、当店でも施工が増えています。おしゃれで人気のある畳ですが、裏返しができない点はあまり知られていません。

裏返しは一度のみ。表替えが不要になるわけではない

畳表で裏返せるのは一度だけです。裏返した面が色あせたときには、もう使える面が残っていません。

つまり、裏返しをしても表替えが不要になるわけではなく、表替えの時期が少し延びるだけです。

裏返しにかかった費用は、その後の表替え費用にそのまま上乗せされます。

「安く済ませたい」という目的で裏返しを選ぶと、長い目で見ると支払う総額は増えることになります。

長期的なコストで見ると割高になる

1年あたりの費用に置き換えると、その差がはっきりします。

裏返し 表替え
(JAS標準綿畳)
1畳あたりの費用 4,000円前後 9,900円
その後使える期間 最大3年程度 8〜20年
1年あたりの費用 約1,300〜2,000円 約500〜1,240円
その後の工事 表替えが必ず必要 畳床が傷むまで不要

裏返しは1回あたりの支払いが安く見えますが、次の表替えまでの期間が短いため、1年あたりでは割高になります。

その後の表替え費用が別途かかることを考えると、差はより大きくなります。

使用頻度が高い和室であれば裏返しのメリットもありますが、お住まいの一部程度の和室であれば、長い目でみればそれほど大きくは変わりません。

い草以外の素材を使った畳にはできない

最近では、い草以外に和紙や化学繊維を使った新素材の畳が多数登場しています。

これらの畳は、そもそもい草のように日焼けしないので、裏返し自体が不要です。

裏返しが割安な広告には注意が必要

裏返しは表替えや新調に比べて表示価格が安いため、集客の入口として使われることがあり、ごく一部の業者では、いざ見積もりに来た段階で高額なものを勧められる事例もあります。

また、裏返しの作業は簡単なものではなく、一度縫い付けてある畳表を傷めずに剥がし、裏返して縫い直すには、表替え以上に畳店の技術力が必要です。

当店では他店で施工した畳を引き取ることもありますが、縫い付けが不十分なまま、正規の方法ではない鋲(びょう)で留められている畳を見かけることがあります。

鋲で止めていると、何かの拍子に浮き出て、ケガにつながるおそれもあるため、価格の安さだけで判断せず、その業者が裏返しをきちんと施工できるかどうかを確認してください。

裏返しをご検討中の方への伊藤畳商店のおすすめプラン

裏返しを検討したけれど、時間が経って裏返しできない、もしくはメリットを感じないという方に、伊藤畳商店では次のようなプランをおすすめしています。

とにかく割安に済ますならJAS標準綿畳(表替え9,900円/畳〜)

JAS標準綿畳

日本農林規格(JAS)適合の、ほどよい質感と価格を両立させた最もスタンダードない草の畳です。

官公庁の検査もクリアしているJAS検査合格品で、使用頻度に応じて8〜20年程度の耐久性があり、他店と同グレードの畳と比べてもその差は歴然です。

JAS畳比較

裏返しの相場が4,000円前後であることを考えると、差額は約6,000円です。その差で畳表が新品に入れ替わり、次の張替えまでの期間は使い方により8〜20年に延びます。

日焼けを気にせず長く使うなら和紙畳(表替え15,400円/畳~)

岡崎市Z様畳

和紙をこより状にして樹脂コーティングした畳表です。い草のように日焼けしないため、そもそも裏返しや色あせの心配がありません。想定寿命は約20〜30年です。

カラーバリエーションが豊富で、和室をモダンな雰囲気に仕上げることもできます。

張替えの手間を不要にしたいならモダン耐久畳 Reface(表替え36,300円/畳〜)

モダン耐久畳Reface

い草・和紙・樹脂に続く「第3世代」の畳表として開発された高機能畳です。

日焼け、水濡れ、カビ・ダニといった畳の弱点をほぼ解消しており、想定寿命は約35〜50年と当店の畳で最も長く、一度施工すれば、お住まいのリフォームサイクルまで張替えなしでお使いいただけます。

まとめ:畳の裏返しをおすすめしない理由

畳の裏返しについて、まとめると次のようになります。

  • 裏返しとは、畳表(ゴザ)を一度剥がして裏面を表に張り直す工事。畳そのものをひっくり返すことではない
  • 一般的な目安は3〜5年と言われるが、効果を実感しやすいのは1畳30,000円以上の国産の上級い草を使った畳。普及価格帯では1〜2年が限度
  • ヘリなし畳、圧着施工の畳、柱の欠き込みがある畳、シミやカビのある畳は裏返しができない
  • 裏返しで戻るのは見た目だけで、畳表そのものの強度は戻らない
  • 費用相場は1畳あたり4,000円前後(2026年10月現在、当店調べ)。1年あたりで比べると表替えより割高になる

以上の理由から、伊藤畳商店では現在、畳の裏返しをサービスとして承っておりません。

ただし、「数年以内に退去予定の賃貸物件」など、短期間だけ見た目を整えたい限られたケースでは裏返しが有効な場面もあります。

その場合は裏返しに対応している畳店へご相談ください。

一方で、和室をこの先も長く使われるご予定であれば、表替えのほうが結果的に費用を抑えられます。伊藤畳商店で最もご注文の多いJAS標準綿畳なら、表替え1畳9,900円(税込)で8〜20年お使いいただけます。

「裏返しのつもりだったけれど、時期を過ぎていた」という方も多くいらっしゃいます。まずは今の畳がどんな状態か、確かめるところからで構いません。

畳の張替えは伊藤畳商店へ

伊藤畳商店は、創業以来70年以上、主要官公庁の検査基準もクリアした品質の畳をお届けしています。製造から施工まで完全自社施工のため、中間マージンがかからない価格でご提供が可能です。

お問い合わせいただければ、見本をお持ちして現地にお伺いします。実際の畳の状態を拝見したうえで、必要なければ「まだ変えなくて大丈夫です」とお伝えすることもあります。今の畳がどんな状態か、確かめるところからで構いません。

名古屋市内はもちろん、愛知県・岐阜県・三重県の東海3県で、最短当日納品にも対応しています。お見積りは無料、相見積もりも歓迎いたします。

LINEを使った畳のオンライン見積りも行っていますのでこちらもお気軽にご利用ください。

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